京都から出たことない

京都・出町柳近辺に住む男の備忘録

まあまあ年いってる

 僕の顔はいわゆる"童顔"に属する部類のようで、実年齢(20代後半)よりも若く見られることが圧倒的に多い。

 仕事柄、というよりは現在所属する部署柄、5月~10月のクールビズ期間はポロシャツとチノパンで勤務できるのだが、周りからは「大学生か」とツッコミを入れられる始末である。
 
 確かにトイレの鏡に映った自分の姿を眺めると、そこには"大学デビューする気が微塵も感じられないモブキャラの2回生"が突っ立っており、あまりにもシンプルかつ的を得たツッコミに対し、「アハハ…まあそうっすね」といった30点の返答でお茶を濁す次第である。
 

 ところで、僕は仕事柄、外国人の方とコミュニケーションを取ることが多いのだが、数ヶ月前に一度僕含むチームのミスで外国人の方をとても怒らせてしまい、僕が謝罪することになった。
 僕の英語はよくてカタコトレベル、対して先方は怒りに任せてネイティブのスピードで思いの丈を伝えてくるため、正直に言って「とても怒っている」以外に何を伝えたいのかよく分からなかった。
 
 とりあえず「Oh…Yes,Yes…okay,」といった洋モノのAVみたいな相槌を繰り返すことにより事態の収束を図っていたが、案の定そんな体たらくで先方は納得してくれず、ついに僕にも分かるような英語で「お前じゃ話にならない。英語がもう少し出来る奴と上司を呼んでこい。」的なことを言い出した。
 
 本来こうした事態は社会人として屈辱的なものであるはずだが、僕が持つその類の矜持は、10分以上続く怒濤のネイティブ英語のシャワーによって既に一切合切洗い流されていた。
 
 とにもかくにも僕の戦いはここまでのようだ。「Yes!」とこの日一番の返事で席を立とうとしたのであるが、その時先方が「そもそも君は学生のインターンか?いったい歳はいくつなんだ?(How old are you?)」
と呆れたように呟いた。

 僕はその言葉を(というよりは最後のHow old are you?を)聞き逃さなかった。
「やっとYes以外でコミュニケーションできる質問が来た!!!」
 僕の中に眠る”大学2回までは英語の授業を受けていた”という謎の矜持が目覚め、よせばいいのに僕は少し自信気に
「アイム 2X years old.」と高らかに自分の年齢を宣言した。



それを聞いた先方、僕の目を見つめながらカタコト気味の日本語で一言、
「アア、マアマアトシイッテルネ。」